歯周病やむし歯にならないために
歯周病やむし歯の予防と管理において、歯科医院でのメインテナンスは非常に重要です。プラーク（歯垢）は歯周病やむし歯の主要な原因であり、自宅でのブラッシングや歯磨きだけでは完全に取り除くことが難しい場合があります。歯科医院では、特別な器具や専門技術を用いて歯や歯ぐきのクリーニングを行うことで、プラークや歯石を効果的に除去します。
また、入れ歯やインプラントなどの治療を受けた場合も定期検診が重要です。長期的な使用を考えると、定期的な歯科検診とメインテナンスがトラブルの予防や早期発見に貢献します。
歯科医院でのプロフェッショナルケアと患者さん自身の日常の口腔ケアの組み合わせが、歯周病やむし歯の予防と管理において効果的なアプローチです。
予防歯科のメリット
むし歯や歯周病を早期発見・予防
むし歯や歯周病などの口腔疾患は、早期発見が非常に重要です。むし歯の初期段階では痛みがなく、進行が進んでから痛みを感じることが一般的です。このため、初期の段階での発見が大切で、早めに治療を受ける必要があります。早期のむし歯は小さな部分に限定されており、被害を最小限に食い止めることが可能です。
歯周病も同様で、初期段階では自覚症状が乏しく、気付いた時にはすでに進行していることがあります。歯ぐきの炎症が進行すると、歯がぐらついたり、歯周ポケットが深くなるなどの症状が現れ、最終的に歯を失う可能性があります。早期発見と治療によって、病状の進行を防ぎ、歯を守ることができます。
定期的な歯科検診や歯のクリーニング、適切な口腔ケアの継続が、口腔健康を維持し、口腔疾患の早期発見につながります。
健康な歯を長期的に維持できる
一度失った歯質は元に戻らないため、むし歯治療で歯を削ると歯の寿命が縮まります。修復することで歯の機能を取り戻すことはできるものの、治療を繰り返すことで歯質が大きく失われます。そのため、どれだけ健康な状態を長く維持できるかが重要です。
見た目の美しさを維持できる
歯科医院での歯科衛生士による歯のメンテナンスは非常に重要です。このプロフェッショナルケアにより、歯の表面はツルツルと滑らかになり、口腔内は清潔で健康的に保たれます。歯垢や歯石の除去によって、細菌の数を減少させ、歯周病の進行を防ぎ、口腔内の健康を維持できます。
健康寿命が延びる
現代の超高齢化社会において、健康寿命を延ばすことが重要な課題となっています。平均寿命が伸びた一方で、その期間を健康で自立的に過ごすことができるかが大きな関心事となっています。歯の健康は健康寿命に大きな影響を及ぼす要因の1つです。
歯の残存本数が多いほど、食事摂取や会話などの日常生活において自立性を維持しやすくなります。歯を失うと、噛む力が低下し、栄養摂取が難しくなるため、健康寿命を維持するのが難しくなる可能性が高まります。また、歯が健康であることは全身の健康とも密接に関連しており、歯周病などの口内疾患は認知症や心筋梗塞などのリスクとも関連が指摘されています。
経済的な負担が軽くなる
歯科の定期検診とメンテナンスには複数の利点があります。予防と早期発見によって歯科問題を未然に防ぐことで、治療費の節約につながります。また、口内の健康は全身の健康にも影響を及ぼし、定期的な歯科ケアは全身の健康を維持します。これにより、生涯にわたる医療費の負担を軽減できます。
当院の予防歯科メニュー
ブラッシング指導
当院では、患者さん一人ひとりに合わせたブラッシングとデンタルフロスの指導を行っています。ブラッシング指導では、適切な歯ブラシの持ち方、歯と歯ぐきへのブラッシング方法について丁寧にご説明します。これにより、正しい歯磨きの習慣を身につけ、過去の磨き方の癖を改善し、効果的な口腔ケアが可能になります。
スケーリング
歯の表面に付着する汚れや歯石は、日常の歯磨きだけでは完全に取り除けないことがあります。無理に力を入れて磨くことは、歯や歯肉を傷つける危険性があるため避けるべきです。スケーリングは、歯周ポケットや歯肉に付着した歯垢や歯石を、超音波などの特別な器具を用いて効果的に取り除く方法です。
しかし、時間が経つと再び汚れが蓄積する可能性があるため、定期的なケアが必要です。
PMTC
歯磨きが難しい箇所や細かな隙間には細菌がたまりやすく、これらの細菌は歯の表面に「バイオフィルム」と呼ばれる膜を形成して固着します。こうした箇所において、本格的な歯のクリーニングであるPMTC（Professional Mechanical Tooth Cleaning）が役立ちます。PMTCでは、特別な器具や研磨剤を用いて、歯の表面に付着したバイオフィルムや食べカスを丁寧に取り除きます。
この施術を受けることで、歯ぐきが引き締まり、歯周病の予防に繋がります。また、口の中がすっきりとし、爽快感が得られ、口臭の予防にも効果的です。
フッ素塗布
歯にフッ素を塗るむし歯予防法では、市販の歯磨きペーストより高濃度の含有率のフッ素を使用します。通常は数ヶ月に一度（年に3〜4回）程度の頻度で受けることで効果を維持できます。特にお子さまの場合、フッ素を塗る頻度が高いほどむし歯の発症率が低い傾向があり、生えてから2年以内の歯にフッ素を塗ることが、予防効果を高める点で特に有効です。
定期歯科検診の重要性
日本の高齢者の歯の本数が他の国と比べて少ない理由には、歯科定期検診の受診率が関連しています。欧米諸国では歯科定期検診の受診率が80％以上であるのに対し、日本では10％未満です。
欧米諸国では予防歯科が進んでおり、歯科定期検診の受診が一般的であり、定期的に歯のケアや予防措置が施されています。これに対して、日本では歯科定期検診の受診率が低く、歯の健康に関する予防措置が不足しています。その結果、高齢者の歯の本数が少なくなり、健康寿命が短くなっていると言えます。歯科定期検診は歯の早期の問題を発見し、適切なケアを提供するために重要であり、高齢者の口腔健康を維持する上で欠かせないものです。