軽度の歯周病(軽度歯周炎)とは?
歯周病は、歯肉にのみ炎症が起きた状態の歯肉炎から始まり、その周囲にも炎症が拡大します。この進行により骨が溶かされ、歯と歯肉の間に歯周ポケットと呼ばれる溝ができます。歯周ポケットの奥深くに歯垢や歯石が蓄積すると、そこで炎症が起き、骨がますます溶けて歯周病が進行します。軽度歯周炎の歯周ポケットは、通常2mmから4mm程度です。
歯科医院で歯のクリーニングを受けることで歯垢や歯石を除去し、適切なセルフケアを行うことで引き締まった歯肉へと改善できます。軽度歯周炎では歯肉炎と同じように歯茎の腫れや歯磨き時の出血などの症状が現れますが、痛みはまだありません。いかに早く治療を開始するかが、歯を残すためのポイントとなります。
軽度の歯周病(軽度歯周炎)の症状
- 歯肉が赤く腫れる
- ブラッシングや食事の際に歯肉から出血することがある
- 冷たい水がしみることがある
- 歯を舌や指で押すと前後に動くことがある
歯周病は「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」とも言われ、自分では気づきにくい病気です。上記の症状のうち1つでも当てはまったら軽度歯周病の可能性があるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
歯肉炎と軽度の歯周病の違いについて
歯肉炎と軽度歯周炎の違いは、歯肉炎は歯肉に炎症を起こすだけであるのに対し、軽度歯周炎では骨の溶解が始まります。歯と歯肉の間に隙間である歯周ポケットが形成され、そこに歯垢や歯石が溜まります。
軽度の歯周病(軽度歯周炎)の治療法
ブラッシング指導
歯周病の主な原因はプラーク(歯垢)です。これは細菌の塊であり、歯周病を引き起こす歯周病菌が含まれています。ブラッシングの主な目的は、歯周病やむし歯の原因であるプラークを取り除くことです。これをプラークコントロールといい、歯面に付着した細菌を取り除くことで炎症を予防し、歯周病の改善を促すことを指します。
日本人の多くの方が1日2回ブラッシングを行っているにもかかわらず、歯周病に罹患しているのは、実際には適切な方法でブラッシングが行われていないからです。歯肉や歯の形態、歯並び、口の大きさなど、個々のお口の状態は異なるため、適切なブラッシング方法を習得することは歯周病の治療と予防に非常に重要です。
スケーリング・ルートプレーニング
歯周病治療において、歯石およびプラークの除去は極めて重要です。歯石はプラークが石灰化して硬くなったもので、その表面や内部には多くの細菌が繁殖しています。これらの歯石をブラッシングだけで十分に取り除くことは難しく、歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を使用してこれを行います。
歯科医院で行われる歯石除去の作業には主にスケーリングとルートプレーニングという2つの方法があります。
スケーリング(Tooth scaling)
スケーリングは、専用の器具を使用して歯石やプラーク(歯垢)を除去するプロセスです。この際には、特にスケーラーと呼ばれる専用の器具が利用されます。
ルートプレーニング(Root planing)
ルートプレーニングは、スケーリングが終了した後に、歯根表面の汚染や軟化したセメント質、象牙質を取り除き、歯根面を硬くなめらかに仕上げる処置です。歯根面が平滑でないと(でこぼこであると)、むし歯や歯周炎の原因となります。ルートプレーニングは歯周病の進行を防ぎ、歯の健康を維持するために重要なプロセスです。
歯周病治療では、患者さんご自身によるセルフケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアの両方を続けることが基本です。まずはお気軽にご相談ください。